死亡事故の禁固刑はどれくらい?実際の判決文も大公開

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死亡事故の禁固刑はどのように決まるのでしょう?

交通死亡事故で人の命を奪ってしまった場合に課せられる罪は、「過失運転致死傷罪」です。
下記、3つのうちのいずれかが課せられることになっています。

  • 7年以下の懲役
  • 7年以下の禁固
  • 100万円以下の罰金

しかし場合によって、刑務所に行かなくて済むこともありますし、刑務所に行くことになったとしても服役期間にはばらつきがあります。

刑罰の重さについて裁判所は、過去の事件の判例を1番重要視して決定しているかと考えられます。
もちろん、被告人の反省の態度や、被害者への弁償の状況など、「事件以外の事情」も考慮はされます。
しかし、同じような事件については、やはり同じくらいの重さの刑罰が与えられることが公平というものです。
同じような事件なのに、ある事件は懲役3年の判決となり、別の事件では懲役10年の判決ということになったら、あまりにも不公平だということになり、刑事裁判に対する信用が損なわれてしまいます。

そこで、このページでは過去の交通死亡事故の判例を調べていきたいと思います。
まず初めに、2017年横浜市首都高湾岸線で起きたトラックの追突事故による死亡事故の判決文を丸ごとご紹介いたします。

2017年横浜市首都高湾岸線で起きた死亡事故の禁固刑は2年

この事故についての詳細はこちらのページへどうぞ
死亡事故禁固刑2年の判決文

刑事裁判の判決文を公開

平成30年10月24日宣告 裁判所書記官 XXXX
平成30年第1076号

判決

本第 XXX県XXX市XXXXXXXXXXXXXX
住居 XXXXXXXXXXX
職業 XXXXXX
芹沢拓也
XXXX年XX月XX日生

上記の者に対する過失運転致死傷被告事件について、当裁判所は、検察官XXXX及び国選弁護人XXX各出席の上部理し、次のとおり判決する。
被告人を禁錮2年に処する。
(罪となるべき事実)
被告人は、平成29年10月1日午前6時22分頃、中型貨物自動車を運転し、
横浜市鶴見区大黒ふ頭11番地県道高速湾岸線上り45.2キロポスト付近道路を、
幸浦方面から大井方面に向かい進行中、眠気を催し、前方注視が困難な状態に陥っ
たのであるから、直ちに運転を中止すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれ
を怠り、直ちに運転を中止せず、漫然、上記状態のまま運転を継続した過失により、
同日午前6時25分頃、同区高島6番地上記湾岸線上り41.5キロポスト付近の
片側3車線道路の第一通行帯を同一方面に向けて時速約70kmで進行中、仮睡状態
に陥って自車を左斜め前方に逸走させ、折から自車左前方の路肩に停車中の小宮直
人運転の普通乗用自動車(以下「小宮車」という。)右後部に自車左前部を衝突さ
せて、小宮車を前方に押し出し、同車の前方道路上にいた臼井翔(以下「臼井」と
いう。)を同車に轢過させた上、その前方に停車中の普通乗用自動車(臼井が直前
に降車するまで運転していたもの。以下「臼井車」という。)左後部に小宮車右前
をさせ、さらに、日井車右後部に自車左前部を衝突させ、よって、臼井に頚椎
骨折等の傷害を負わせて、同日午前8時16分頃、同市中区新山下3丁目12番
1号所在の横浜市立みなと赤十字病院において、臼井(当時21歳)を上記類推
折に基づく損傷により死亡させるとともに、小宮直人(当時33歳)に全治約
2か月間を要する第5頚椎椎体骨折等の傷害を小実車同乗の小宮明菜(当時26
急に全治1か月間を要する頚椎捻挫の障害を小宮車同乗の小宮崎斗(当時
3歳)に全治約1週間を要する頭部打撲の傷害を、臼井車同乗の伊藤朝美(当時1
6)に加療約3週間を要する背部挫傷等の傷害をそれぞれ負わせたものである。
(証拠の目標)括弧内の甲乙は証拠等関係カードの検察官請求証拠番号である。
・被告人の公判廷における供述
・被告人の検察官調書(乙7、8)及び警察官調書(乙3.5)
・被告人作成の上申書(乙2)
・XXXX(※第一通報者)(甲9)、小宮直人(甲19) 伊藤明美(21),田村(※新木商事)(甲
(39)及び金田(※新木商事)(41)の各書
・実況見分調書(甲1~5.8.12)
・査報告書(甲6.7.23.25~31,33~35,42)
・死体検報告書(甲11)
・診断書(甲14,15,1718)
・電話通信書(甲16)
・入手報告書(甲24)
(法令の適用)
被告人の判示所為は、被害者ごとに自動車の運転により人を死傷させる行為等の
に関する法律5条本文に該当するところ、これは1個の行為が5個の罪名に触
れる場合であるから、 54条1項、10条により1罪として犯情の最も重
い被害者に対する過失運転致死の刑で処断し、所定刑中禁錮刑を選択し、そ
の所定の範囲内で被告人を禁錮2年に処し、費用は、刑法181条1項 
ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。
被告人は、食品配送会社の運転手として、首都高速で会社のトラックを運転中,
仮睡状態に陥るという、重大な過失により本件事故を引き起こしたものであるが、
事故に至るまでの間に、居眠り運転をする可能性は十分予測できたはずであり,
仮眠を取るなどすべきであったのに、無理な運転を続けて事故を招いたものである。
確かに、本件当時、被告人車両の進路前方の路肩には、臼井車と小宮車が右側を
はみ出す形で停止していたが、手前の小官車はハザードランプを点灯させていた上、
現場付近の見通しは良好で、天気も良く、被告人が居眠り運転をしなければ、衝突
は起きなかった。そして、被害者らの車が路肩に停止していたのは、小宮車が走行
中に異音を発したことから、原因を確かめるためであり、実際、同車のアンダーカ
バーが外れて垂れ下がり、地面を擦っていたところ、同車に応急措置を施そうとし
た小官直人に協力するために臼井が降車した後、小宮直人が、発煙筒をたいたり、
三角表示板を設置したりする前に本件事故が発生してしまったのであるから、被害
者らの車の停止状況は、被告人の責任を減ずべき事情であるとはいえない。
6人を死傷させた結果は重大であり、臼井の遺族や負傷した被害者らが被告人に
対する厳罰を望むのも当然である、被告人の刑費は重く、実刑を免れない。
他方で、彼告人が反省し、二度と運転はしないとも述べていること、妻子がおり、
その妻が出廷して被告人の監督を誓約していること、本件事故の賠償問題は、一部
を除いて示談未了であるが、最終的には被告人車両に付されていた任意保険による
解決が見込まれること、被告人に前科はないことなど、酌むべき事情もある。
そこで、これら諸事情を総合考慮し、被告人を主文の刑に処することとした。
よって、主文のとおり判決する(求刑 禁錮4年)。
平成30年10月24日
横浜地方裁判所第6刑事部
裁判官
XXXX

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