ドライブレコーダー公開
蛇行運転をするトラック。事故の原因は居眠り運転!?
運送業界は日報改ざんが当たり前なのか‥?
運送業のすべての会社が該当するわけではないですが、トラックドライバーの方々から「会社や上司からの指示で日報改ざんを命じられた」という話をしばしば耳にします。
「日報改ざん」という違法行為を行ってしまう理由は、労働基準法に定められた労働時間を超えてしまうからというものです。
また、なぜ、労働基準法に定められた労働時間を超えてしまうかという理由には、労働基準法に定められた労働時間内の勤務体系では従業員への賃金をまともに支給することができないことが考えられます。
そして、なぜ、労働基準法に定められた労働時間内の勤務体系では従業員への賃金をまともに支給することができないかというと、業者間の多重下請け構造が原因であると考えられます。
製造業や建設業などでは、元請け、下請け(一次受け)、孫請け(二次受け)などといった仕事の受注形態をよく耳にします。
運送業でもこのような仕事の受注形態が一般的なようで、孫請け(二次受け)の企業などは、法律通りに従業員へ賃金を支払っていては、会社が存続できないといったことになってしまいます。
上記のような理由により、運送業界では従業員の給与は配送する荷量によって変動し、万が一、配送が遅れてしまったり、荷量(売上げ)が減ってしまっても、会社は赤字にならないシステムになっている場合が多いようです。
要領のいいドライバーは荷量(売上げ)に見合った時間内で配送を終わらせることができますが、初心者や要領の悪い方、安全運転を徹底される方などは、配送に時間が多くかかってしまうのが普通です。
配送時間が予定より大幅にかかってしまったからといって、まともに残業代を支払っていては、会社は倒産してしまいます。
そのため、ドライバーは生活に必要な給与を稼ぐには労働時間が労働基準法の規定内には収まりきらず、労働基準監督署向けに日報改ざんも止むを得ないというのが一般的になってしまっているようです。
2017年に私は、株式会社新木商事という運送会社のトラック事故により子供を亡くし、その後の裁判や警察の調査などで話を聞いているうちに、どうもこの新木商事という運送会社も「日報改ざんをしているのではないか?」と疑ってしまうようなことが多々ありましたので、その理由を記述させていただきます。
新木商事(運送会社)が日報改ざんをしているのではないか?と疑問に思った理由
事故後、最初に確認した出勤時刻と実際の出勤時刻が違っていた‥
新木商事のトラック事故により亡くなった被害者の父親である私が、事故後、新木商事の従業員(加害者ドライバーではない)より最初に聞いた話では、加害者ドライバーは午前3時21分に出勤したという話でした。
しかし、その事故の1週間後に新木商事の方々が私の自宅を訪れた際に、もう一度確認したところ、実際は出勤時刻が午前2時半であったと、約1時間の間違いがありました。
警察の調査の記録(加害者ドライバーのトラックに搭載されていたドライブレコーダーの記録)を確認してみても、やはり午前2時半の方が正しいようです。
新木商事は、普段から日報には出勤時刻を1時間ほど遅らせて記入していたので、事故直後はその改ざんされた日報の記録(出勤時刻)を私(被害者側)へ伝えたものの、ドライブレコーダーには正確な時間が記録されてしまっていたことに気づき、警察の調査が進めば嘘はつけなくなるため、改め直した(真実の出勤時刻に戻した)のではないのか?と大変疑問を持ちました。
↓平成29年12月5日神奈川県警察高速道路交通警察隊大黒分駐所での新木商事横浜営業所所長・金田氏の供述
あまりにも遅刻が多すぎる加害者ドライバー
加害者となった新木商事ドライバーの勤怠記録(上記画像を参照)ですが、事故のあった2017年10月の前月に当たる9月度は25日間出勤のうち、16日間も遅刻をしていたということです。
しかし、会社側では1時間ほどの遅刻ならば配送に差し支えないので容認しているということでした。
運送業界とはこのような会社が普通なのでしょうか?
「午前2時半〜午前3時半の自由出勤である」というならば話はわかるのですが、あくまで遅刻です。
会社は従業員が月のうち半分以上遅刻しても容認している(他のドライバーもそのような例が多々あるとのこと‥)。
また、新木商事は、スーパーへの食品配送をしております。
スーパーへの食品配送というものは、毎日1時間くらいの遅刻は問題ないものなのでしょうか?
これらの点に大きな疑問を持ちました。
また、加害者のドライバーは、配達するスピードも他のドライバーに比べて遅かったという話も聞きました。
正直な出勤時刻と退勤時刻を記録していては労働基準法に定められた労働時間を大幅に超えてしまうため、出勤時刻を遅らせ(遅刻したことにして)記録上(労働基準監督署向け)の労働時間を短縮していたのではないかな?と思いました。
そうであれば、25日間中16日間の遅刻を会社が容認しているということも多いに納得できます。
新木商事横浜営業所所長の供述に他にも不可解な点が‥
平成29年12月5日の新木商事横浜営業所所長・金田氏の供述では、「9月は25日間出勤のうち、16日遅刻しており、」ということでした。
しかし、その10日間ほど前の平成29年11月26日の金田氏の供述では、「ここ最近は週に1回くらい遅刻をすることがあります。」となっています。
↓平成29年11月26日神奈川県警察高速道路交通警察隊大黒分駐所での新木商事横浜営業所所長・金田氏の供述
事故のあった10月の前月(9月)には16日間も遅刻をしているのに、「ここ最近は週に1回くらい遅刻」とはどういうことでしょう。
このようなことからも、「日報改ざんをしているのではないのか?」とたいへん疑問に思われます。
日報改ざんを指示されたという新木商事の口コミも
また真実であるかはわかりませんが、新木商事の元従業員という方々に、「実際に日報改ざんを指示された」というようなお話も伺うことが何回かありました。
取り調べが進みわかったことですが、私の息子の命を奪った新木商事ドライバーは、事故のあった2017年10月1日の前月の2017年9月は記録上339時間も働いていたようです。
1ヶ月の拘束時間は原則として293時間です。
ただし、毎月の拘束時間の限度を定める書面による労使協定を締結した場合には、1年のうち6ヶ月までは、1年間の拘束時間が3516時間(293時間×12ヶ月)を超えない範囲内において、1ヶ月320時間まで延長することができます。
新木商事加害者ドライバーの339時間は完全にアウトです。もし、他にもこのようなドライバーが多数いるとすると、営業停止処分になってしまう可能性もあります。
実際、新木商事は平成29年10月2日に監査を実施され文書警告は受けています。
死亡事故を引き起こしたことを端緒として平成29年10月2日、監査を実施。5件の 違反が認められた。
(1)乗務時間等告示の遵守違反(貨物自動車運送事業輸送 安全規則第3条第4項)
(2)点呼の実施義務違反等(貨物自動車運送事業輸送 安全規則第7条)
(3)乗務等の記録事項義務違反(貨物自動車運送事業輸送安 全規則第8条第1項)
(4)運転者に対する指導監督違反等(貨物自動車運送事業 輸送安全規則第10条第1項)
(5)初任運転者に対する適性診断受診義務違反 (貨物自動車運送事業輸送安全規則第10条第2項)
参照:https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/page3/kamotu/date/29/kamotu2911.pdf
新木商事ドライバーの2017年9月(事故のあった前月)の日報に関しては取り調べでドライブレコーダー等を調べられるため、新木商事はドライバーの拘束時間が339時間であったと違法行為を認めた供述をしていますが、通常時は日報改ざんしなければ営業停止処分となってしまうため、日報改ざんしていたとしてもおかしくはないでしょう。
労働基準監督署へ訴え出ることも検討しています
そして事故から約1年半後の2019年3月21日 (木)、東京高等裁判所にて今回の死亡事故を起こした新木商事トラックドライバーには2年の禁固刑を科されることが決定しました。
事故直後は、本人も「居眠り運転をした」と言い、1週間後には「記憶がない」と言い始め、裁判でも「居眠り運転」を認めようとしませんでしたが、異常な労働時間やドライブレコーダーの記録(ふらつき、蛇行運転)などにより「居眠り運転」ということが濃厚となり2年にわたる禁固刑となったようです。
そして、この「居眠り運転」は過酷な労働を強いられたことによる「過労運転」でもあります。
息子の命を奪ったドライバーの責任もありますが、そのような劣悪な労働環境でドライバーを働かせている管理者にも大きな責任があります。
私どもは労働基準監督署へ今回の事故に至った加害者ドライバーの労働状況などを資料提供することを考えています。
もし、過去に株式会社新木商事に従事しており、「日報改ざん」やパワハラなどによる過酷な労働を強いられた方で、その時の記録やお話をいただける方がおりましたら、是非こちらへご連絡をお願いいたします。
支払われなかった残業代の請求は、日報などの記録・証拠が残っていなくても当時の携帯電話の通話記録などからも可能なようです。
残業代の請求など、お一人では請求しにくいかと存じますが、人数を集めれば請求しやすいかと考えております。
ぜひ、当ホームページで情報を寄せ合いましょう。
メッセージは、このページの下部にあるコメント欄、もしくはお問い合わせページよりお待ちしております。
コメント