死亡事故で逮捕されない事例〜死亡事故を起こした加害者の衝撃的なLINEの内容も〜

新着記事

死亡事故で人を殺してもなぜ逮捕されないの?

2019年4月19日東京都豊島区東池袋で、いわゆる「池袋暴走」と呼ばれる事件が起こりました。

その事件では2人を死亡、9人を負傷させるという惨憺たる事故でありながら、加害者運転手の飯塚幸三氏(当時87)が「逮捕されない」という疑問がインターネット上で大炎上しました。

池袋暴走の翌々日には神戸市営バスが歩行者をはね、死傷者を出す事故が発生しました。
しかし、その事故の加害者ドライバーは「現行犯逮捕」されてしまいました。

逮捕

この2つの事件が比較され、逮捕をめぐる対応が違ってしまったことにより、インターネット上の炎上に大量の油を注ぎ込みました。

池袋暴走の加害者・飯塚氏は旧通商産業省工業技術院院長をはじめ、各種団体・企業の重役を歴任した経歴を持つエリートでした。

上級国民

そのため、「上級国民は逮捕されない」という迷信のような情報が飛び交ってしまいました。

実際、そのような逮捕されない理由も100%否定することはできないのかもしれませんが。

しかし、けっして上級国民とはいえない人間でも逮捕されない場合も実際にあります。

その事例は、私の息子が命を落とすことになってしまった、2017年10月1日に起こった株式会社新木商事というトラックの追突による死亡事故です。

原因は、株式会社新木商事のトラック運転手の居眠り運転、息子はほぼ即死状態、他4名が大きな傷を負うこととなった大きな事故でした。

新木商事トラック死亡事故の記事へ

株式会社新木商事002

事故から1年半後、株式会社新木商事の加害者ドライバーには、高裁での判決で禁錮2年の懲役刑が決定しました。

新木商事の加害者ドライバーは、けっして上級国民などという類に入る人間ではないかと思います。

しかし、加害者ドライバーは事故直後に逮捕されることもなく、刑務所へ入所するまでも一回も逮捕されることはありませんでした。

しかし、高裁での判決が決定した時には、当時、事故の担当をされた警察官の方には、「あの時、逮捕するべきでした。」と、言葉をいただきました。

死亡事故で加害者を逮捕する場合

そもそも、犯罪を犯したり、人を殺してしまったら「即逮捕」というわけではないようです。
当たり前ですが、警察官もむやみに「逮捕」という行為をおこなうことはできません。

逮捕の定義

Wikipediaで「逮捕」について確認してみました。

逮捕は、捜査機関または私人が被疑者の逃亡及び罪証隠滅を防止するため強制的に身柄を拘束する行為である。
現行法上、逮捕による身柄の拘束時間は原則として警察で48時間・検察で24時間の最大72時間(検察官による逮捕の場合は48時間)である。

参照:wikipedia.org

逮捕になる条件

  • 逃亡の恐れがある
  • 証拠隠滅の恐れがある
  • 身元不明で誰か分からない
  • 自殺の恐れがある

池袋暴走の翌々日に起こった神戸市営バスの死亡事故では、加害者ドライバーが上記の項目に該当するということは、あまり考えにくい事かもしれません。

しかし、何らかの理由、その時の警察の判断によってバスのドライバーは逮捕されたという事です。

「逮捕」の定義について記述しましたが、逮捕による身柄の拘束時間は原則として48時間ということでした。
そして、逮捕後、検察は勾留の請求をし、10日間勾留することができます。
また、やむを得ない事由があるときは、検察官の請求により、裁判官が更に10日間以内の延長を認めることができます。

よって勾留(逮捕による身柄の拘束)の最大期間は20日間になります。

逮捕してしまうと、20日間以内に起訴にいたれなければ、それ以上身柄を拘束できないため、釈放しなければなりません。

どうしても、拘留期間を延長しようとすると別件逮捕など再逮捕するための刑事手続きが必要です。
交通事故で、再逮捕するため別件を持ち上げることはなかなかできないことでしょう。

よって、逮捕後20日間は事件の調査や取り調べで大変忙しく、条件によっては20日間以内に起訴までいたることは困難であることが推測されます。

このことから、20日間以内に加害者を起訴まで持っていけるかという判断も、死亡事故直後に加害者ドライバーを逮捕するか否かの判断に大きく関係していると考えられます。

池袋暴走の飯塚氏の場合は、本人が「ブレーキを踏んでいた」と言い張っていた上に、病院へ入院しなければいけないような状態でした。

そのような状態で、20日間以内に事件を立証し起訴まで持っていくことは大変困難なことです。

池袋暴走の翌々日に起きた神戸市営バスの死亡事故では、事故直後、加害者ドライバーも自身の落ち度を認めていたのかもしれません。

20日間以内に起訴に至ることが可能であると、事故直後に警察が判断できたため現行犯逮捕したのかもしれません。

現行犯逮捕

死亡事故を起こしたら刑務所へ行くことになるのか

逮捕の条件は上述の事柄、事件直後の警察の判断となってしまうため、

事故の大きさや悪質性 ≒ 逮捕の条件

と、なってしまうように考えられます。

警察

しかし、刑務所送りになるかどうかは、裁判所が時間をかけ法律で決定するため、

事故の大きさや悪質性 = 刑務所送りの条件

と、考えてもよいかと考えられます。

裁判所

刑務所にいかずに済むための条件

  • 不注意の程度がひどくなかった
  • 被害者の方に対して謝罪している
  • 被害者の方に対して賠償をしている

交通事故では、上記のような条件だと、加害者は執行猶予になり刑務所にいかずに済む可能性があるようです。

刑務所にいくことになってしまう条件

  • 飲酒運転によって被害者を死亡させた
  • 猛スピードで被害者を死傷させた
  • 交通事故の前科がある
  • 交通違反を普段からよくしている

交通事故では、上記のような条件だと、加害者は執行猶予がつかず刑務所送りになってしまう可能性が高くなるようです。

刑務所送りになった加害者ドライバーと衝撃的なLINEのやりとり

前述した、2017年10月1日に起こった株式会社新木商事というトラックの追突による死亡事故では、居眠り運転をしていた加害者ドライバーは逮捕はされませんでしたが、2年間刑務所へ行くことになりました。

加害者ドライバーは事故後、けっして自分が刑務所送りになってしまうとは考えていないようでした。

以下に新木商事の加害者ドライバーと、加害者ドライバーの仲間(同社従業員)のLINEでのやり取りを掲載いたします。

こちらは、事故後の警察の取り調べで発見されたものです。

加害者ドライバーの仲間 : 緊急自体のため、所長が、あのカリスマを呼び戻すと考えているようです。

加害者ドライバー : マジっすか。いいんだかわるいんだか。。

加害者ドライバーの仲間 : オレ長津田っすか?!

加害者ドライバーの仲間 : 大丈夫じゃないだろうけど、大丈夫?昨日の事はオレがなんとかすれば防げたのか?
と、ずーっと考えてる。寝てないってのを知っていたオレが、ドコかで寝ればとか、逆にセンターまで絶対に寝かせないとか、方法はあったハズ。
助けるコトが出来たかもしれないのに出来なくて本当にゴメン。過ぎてしまってから言っても遅いけど。相手は亡くなったけど、自分は生きていて良かったんじゃないかな。
大事な家族を残して死ねないし。あっちゃんや子供達の為に早く出て来て「ガンバル」じゃないかも知れないけど家族の笑顔の為にガンバレ!!あ、行き先分かったら教えられたら教えて。うかがうぜ。

加害者ドライバーの仲間が送った「相手は亡くなったけど、自分は生きていて良かったんじゃないかな。」という文章に、亡くなった息子の親としては、なんとも言えることのできない怒りを覚えました。

また、そのあとの文章、「‥(省略)‥早く出て来て‥(省略)‥あ、行き先分かったら教えられたら教えて。うかがうぜ。」という部分は「刑務所から出てきて、‥(省略)‥行き先(刑務所の場所)分かったら教えて、面会にうかがうぜ。」ということでしょうか。

そのメッセージへの返信として、加害者ドライバーは次のメッセージを返しています。↓

加害者ドライバー : 大丈夫って言えば大丈夫です。 身体は段々痛くなってきてますけど。。 しかも田村くんのせいとかではないので大丈夫です!!さらにしかもまだ刑務所入るかも決まってないっすから。笑

加害者ドライバーの仲間 : 今、ソフトバンク行って聞いてきたんだけど、カスタマーセンターじゃないと発行できないらしく、センターに問い合わせたら、今月は28日からしか受け付けられないそうなの28日にもう一回かけ直すかんじです。で、1週間位で自宅に届くそうです。遅いかな?警察に提出するヤツと言えば早く受け付けてくれるのかな?

加害者ドライバー : そう言われたんならしょうがないんじゃないですか? 警

職場の仲間から、自分が刑務所へいくことへの気遣いのメッセージに対し、加害者ドライバーは、

「さらにしかもまだ刑務所入るかも決まってないっすから。笑」

という、返信をしていました。

私の息子を死にいたらしめた人間が、その数日後、LINEのやり取りでこのようなやり取り、「笑」などと書いていたことを知った時には、かつて感じたことのないような感情が湧き起こりました。

そして、「まだ刑務所入るかも決まってないっすから。笑」と思っていた加害者ドライバーですが、結局は2年間刑務所に行くことになりました。

「池袋暴走」の加害者ドライバー飯塚幸三氏はどうなるのか?

新木商事の加害者ドライバーが死亡事故を起こし刑務所に入るまでには、事故から約1年半以上がかかりました。

飯塚幸三氏も逮捕はされませんでしたが、ゆくゆく刑務所に入ることになると推測されます。

しかし、飯塚氏の場合は年齢も87歳(事故当時)ということなので、1年半もかかっていては、刑務所に入る前に寿命で死亡されてしまうことも考えられます。

刑事裁判が長引いてしまい、懲役刑が決まり刑務所へいく前に飯塚氏が亡くなってしまわないことを願っております。

コメント