ドライブレコーダー記録映像(事故発生に至る約1分前から事故発生まで)
ドライブレコーダーの記録映像からはトラックの運転手(芹澤拓哉)が事故発生前からよろよろと蛇行運転をしていることがわかります。
芹澤拓哉は事故当日、居眠り運転をしてしまったと証言しました。
このことについては株式会社新木商事の過酷な労働環境により、芹澤拓哉は居眠り運転をしてしまったと推測することもできます。
しかし、事故発生から時間が経つにつれ、芹澤拓哉は居眠り運転を否定するような曖昧な証言を繰り返すようになりました。
この証言の変化について明らかにするため、芹澤拓哉の上申書(事故当日)、芹澤拓哉と田村氏(同僚)の供述調書の抜粋を掲載します。
上申書と供述調書は時系列順に掲載しており、下記表1のように芹澤拓哉の供述内容が「居眠り運転」から「覚えていない」という曖昧な主張に変わっていく様子がわかります。
表1
日付 | 供述者 | 供述内容 |
---|---|---|
平成29年10月1日 | 芹澤拓哉 | ベイブリッジを渡った記憶はあるが、その先の記憶が寝てしまってない。 |
平成29年10月21日 | 田村氏(同僚) | 芹澤拓哉は歯が痛くて全然寝れなかったと言っていた。 |
平成29年10月27日 | 芹澤拓哉 | 私は居眠り運転していないと思う。しかし、居眠り運転であった可能性はゼロではないと思う。 |
平成29年12月23日 | 芹澤拓哉 | 事故の原因は、前を見ていなかったという理由以外の理由はないと思った。 |
平成29年12月29日 | 芹澤拓哉 | 事故直前の事は覚えていない。 |
平成30年5月31日 | 芹澤拓哉 | 居眠り運転をしていたことを否定する訳ではなく、居眠り運転を本当にしたかどうかよくは分からない。 |
※詳細な供述調書をご覧になりたい方は各項目のタイトル下部にある「供述調書の原文を見る」からお願いいたします。
平成29年10月1日 加害者ドライバーの上申書
2 この事故のけっかあいて方が亡くなってしまったと聞きました。
3 この事故原因は私がいねむり運転をしてしまったことです。
4 ベイブリッチをわたったきおくはありますがその先のきおくがねてしまってありません
5 私が事故の当時運転していた車は会社の車で中がたかもつのナンバー7352です。
6 こんごよびだしがあれば、かならずしゅっとうします。
神奈川県警察高速道路交通警察隊長殿
平成29年10月21日 加害者ドライバー同僚の供述
東扇島の物流センターに行くと、芹澤くん(加害者ドライバー)に会い普段通り雑談等をしました。
その時に芹澤くん(加害者ドライバー)が歯が痛くて全然寝れなかった
と言っていました。
(同僚)
朝に積み込みをしている時に眠いと言っていたので寝不足が原因で居眠り運転をして事故を起こしたんではないか
と思いましたが、私は事故が起きた時間は芹澤くん(加害者ドライバー)と通話中だったので寝ているかもしれないと最初は思ったのですがボーっして車を運転して事故を起こしたのかもしれないと思いました。
(同僚)
平成29年10月27日 加害者ドライバー(新木商事)の供述
この事故の原因は私が居眠り運転をしてしまったことです。
と書きましたが、私は居眠り運転していないと思います。
なぜ居眠り運転をしてないと今言えるのかと言うと詳しくは覚えていません。
自宅のテレビに繋いだDVDプレーヤーで20回以上再生して見て確認したところ、私が会社の同僚の田村さんと電話で会話をしている音声がドライブレコーダーに記録されていたので、私が交通事故を起こす直前は居眠り運転していないと思ったからです。
なぜ交通事故を起こした当日に取り調べをした警察官の目の前で、私は居眠り運転をしてしまったと説明して、上申書を作ったことについては、私が、交通事故を起こした後に交通事故現場に来た警察官か救急隊員か誰かはわかりませんが「寝ちゃったの」と聞かれたので、その時は私自身の交通事故直前の記憶が無かったので、寝ちゃったかもしれませんと答え、、、
事故直前に私が居眠り運転ではなかっただろうと思う状況が色々とあったので、私自信が居眠り運転ではないと言いましたが、もしかすると居眠り運転であった可能性はゼロではないと思います。
平成29年12月23日 加害者ドライバー(新木商事)の供述
今回の事故で私の不注意な点は前を見ていなかったことだと思います。
その理由については携帯電話の画像をずっと見ていたこととか視界が眩しくてとか寝てたとか
横を向いて脇見をしていたとか、自分なりに事故の原因についてかんがえたのですが、この考えたことについて全部違うので、
前を見ていなかったことという理由以外の理由は、ないかなと思ったからです。
平成29年12月29日 加害者ドライバー(新木商事)の供述
貴方は、交通事故が起きた当日に一番初めに事故現場に到着していた警察官からどの車の関係者ですかと尋ねられた際にトラックを運転していました。
と答え、さらに警察官が、どのような交通事故ですかと尋ねたところ貴方は、
すいません居眠りしちゃいました。
と事故現場で答えていたそうですが、この現場に一番初めに到着していた警察官との会話について覚えていますか。
その時に居眠りしちゃいましたと答えた記憶はありませんが、事故の現場で、その場にいた誰かに居眠りをして事故を起こしたという話しをした記憶はあります。
しかし、居眠りをしたと答えたことについては、前にも説明しましたが、事故現場にいた警察官か消防士か覚えていませんが、その人にどのような事故だったか、何で事故を起こしたのか、寝てしまったのかと聞かれたときに何も覚えていなかったので寝てしまったと思ってしまって、答えたのです。
なぜ覚えていないのですか。
なぜ覚えていないかと言われても、何で覚えていないのかわかりません。
交通事故当日にこちら大黒分駐所に来て、上申書を作成した際は居眠り運転をしてしまった。と答えています。
会社の人に対しては運転席で事故直前に携帯電話の充電器をコンソールボックスから取ろうと脇見をしたと答えていることについて、交通事故の原因は全く覚えていないのですか。
覚えていません。
ドライブレコーダーの映像からの推測ではなく、実際の記憶ではどのような事が言えるのですか
覚えていません。
平成30年5月31日 加害者ドライバー(新木商事)の供述
正直なところ、今回の交通事故を起こす直前のことは記憶がありません。
そのようなことから、いま思いつくとしたら、私は、眠気からウトウト居眠りでもしていたというくらいです。
私は、事故を起こした前日の夜、午後10時から午後10時30分頃の間に寝て、当日、午前1時40分頃、目を覚ました記憶があります。
ですから、睡眠時間は、3時間10分くらいから3時間30分くらいになります。
私は、前夜、寝るとき、歯が痛かったことは確かです。
しかし、私は、歯が痛いせいで睡眠時間が思うようにとれなかっという記憶はありません。
あなたは、歯が痛かったことで、なかなか眠れなかったり、途中で目が
覚めるなどして熟睡できなかったのではないか。
途中で1回目が覚めたことがありましたが、そのときは特に歯が痛いということはありませんでした。
それに、途中で1回目が覚めることは珍しくないことです。
あなたは、交通事故を起こす前、同僚の田村さんと携帯電話で通話しているのが、あなたの運転していた車に備え付けられていたドライブレコーダーに録音されているのを知っているか。
はい知っています。
そのドライブレコーダーの録音を聞くと、あなたが田村さんに歯が痛くて一睡もしていない旨話しているがどうか。
私が田村さんに言った内容は、大げさに言ったものです。ですから、私が一睡もしていないというのは、実際には嘘であり、ただ、
寝付きづらいことがあったのは確かだったかもしれません。
そうであるなら、あなたは、事故を起こしたとき、睡眠不足だったということか。
いつもより睡眠不足だったかもしれませんが、この日、普段より特に眠時間が極端に短かったということではありません。
昨年10月1日に、仕事があったのは分かるが、その前から連日仕事だったのか。
はっきりとは覚えていませんが、少なくとも数日は連続して仕事のシフトに組み込まれていて、仕事をしていました。
では、仕事などで疲労が固まっていたということはなかったか。
何日か仕事が続いていたので、それなりに疲労も溜まっていたとは思いますが、だからといって、事故を起こしたとき、特別に疲労が留まっていたという記憶もありません。
私が運転していた車に備え付けられていたドライブレコーダーの映像を警察で見せてもらいましたが、例えば、信号機が赤色表示がら青色表示に変わったのに発進しなかったり、発進しても何秒か経ってから発進したり、車線規制のために設置してある発煙筒を踏み越えたりして車を走らせている場面が何度かあるのを確認しました。
信号機が赤色から青色に変わってもすぐには発進しないことは、普段でもたまにはありますが、それが何回もあるのは、普段とは違っています。
発煙筒を踏み越えるのは、状況によっては、普段もなくはないことです。
あなたが信号機が赤色から青色に変わったのに、そのまま発進せず止まったままでいたり、発進するのが遅れたりしたのは、居眠りをしていたからではないのか。
居眠りをしていたわけではないと思います。
では、なぜ青色に信号が変わったのに発進しなかったのか。
例えば携帯電話の動画を見ていて信号が青色に変わるのを見ていなかったり、車内に置いてある財布を探したりしていて、信号が青色に変わるのを見ていなかったためだと思います。
あなたは、今回の事故を起こした現場に到着した警察官に対して、居眠りをして事故を起こしたことを話したのではないか。
確かに、私は、上申書に事故の原因について、私が居眠り運転したことを書きました。
私は、事故のときの記憶がなかったから、寝てしまっていたと思い、そのように上申書に書きました。
そうなら、今回あなたが事故を起こしたとき、あなたは、居眠りをしていたのが真実ではないのか。
確かに、私は、居眠り運転をしていて今回の事故を起こしたのかもしれませんが、実際に居眠り運転していたという記憶が私にはないのが本当のところです。
ですから、私は、けっして事故を起こしたとき、居眠り運転をしていたことを否定する訳ではなく、居眠り運転を本当にしたかどうかよくは分からないというのが正直な気持ちです。
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